まちセンの建物の歴史

函館市地域交流まちづくりセンターの建物は1989(平成元)年に函館市の景観形成指定建築物等に指定されたドーム型の屋根が特徴的な建物です。
1923(大正12)年、丸井今井百貨店函館支店として、展望台付き、3階建て鉄筋コンクリート構造により建築されました。1930(昭和5)年には5階建に増築されますが、1934(昭和9)年3月の函館大火により内部を全焼。その後、強度を増した改修工事を行い、最新のエレベーターが取り付けられ、同年11月には早くも営業を再開するという驚異的な復興を果たします。1969(昭和44)年に百貨店を本町(五稜郭エリア)に移転した後は、1970(昭和45)年から2002(平成14)年まで市の分庁舎として使用。しかし老朽化による安全性の問題により2005(平成17)年から2007(平成19)年に大規模改修工事が行われました。外観の意匠は創建当時に忠実に復元し、東北以北最古のエレベーターを保存するため塔屋部分は5階建のまま残しました。建物の保存活用委員会や市民懇話会などからNPOや市民活動団体の活動拠点が欲しいという要望が多くあったことから2007(平成19)年4月より、西部地区の振興を果たすことを目的として「函館市地域交流まちづくりセンター」が開館しました。
はじまり

(函館市中央図書館所蔵)

(函館市中央図書館所蔵)
1892(明治25)年に開店した函館丸井今井呉服店は、1923(大正12)年に鉄筋コンクリート3階建ての百貨店として竣工されました。函館は風の強い津軽海峡に突き出た半島のため大火が多く、耐震・耐火性に優れた鉄筋コンクリート構造が用いられました。1930(昭和5)年、営業面積を拡大する必要から既存部分に4階を増設、さらに隣接して5階が増築され、当時の最新式のエレベーターが取り付けられました。
函館大火後

(函館市中央図書館所蔵)

(函館市中央図書館所蔵)
1934(昭和9)年3月の函館大火時により建物の内部を全焼しました。「より耐火性に優れた建物を」とエレベーターを鉄製に床や階段をコンクリート張りにして、同年11月には早くも営業を再開し脅威の復興を果たします。この時、海外から大理石を取り寄せるなど贅を尽くした装飾が現在も柱や階段の手すり、踊り場に残っています。また再建したエレベーターは自動制御のついていない手動式で現存するエレベーターでは東北以北最古のものです。
丸井今井から函館市分庁舎、大規模工事へ


1969(昭和44)年丸井今井百貨店が本町に移転した後は、1970(昭和45)年から2002(平成14)年まで水道局、交通局が入居する函館市の分庁舎としての使用を開始しました。しかし老朽化による安全性の問題により休眠期間を経て2005(平成17)年から2007(平成19)年にかけて「外観の保全」「安全性の確保」の両立を図るための大規模補修工事を行いました。
そして、まちセンへ
外観の意匠は創建当時の3階建てに忠実に復元することを基本とし東北以北最古のエレベーターを保存するため、塔屋部分を5階建てのまま残しています。改修工事で建設時の姿にほぼ復元でき、手動式のエレベーターにも搭乗することができます。


建物の活用については市役所分庁舎の保存活用委員会や懇話会を設置し、市民や学識経験者等の意見を広く聴取しました。
- 市民の親しみと懐かしさを保つとともに西部地区の歴史・文化、建物の立地特性を十分に生かした施設とすること
- 西部地区の振興とまちづくりの拠点施設として活用するとともに新たなまちの魅力の創造や情報を発信する施設とすること
- 市民活動やサークル活動などの多様な交流活動を促進・支援し、人と人のふれあいを大切にする施設とすること
- 地域住民をはじめ市民の意見・要望などを取り入れた活用方策をすること
これらの4つの考え方をベースとして2007(平成19)年4月1日、市民交流やNPOなどの市民活動の支援、観光案内をはじめ地域情報の発信を通じ地域のコミュニケーションやまちづくり活動を推進するための拠点施設として「函館市地域交流まちづくりセンター」がオープンしました。