Mission4『情報発信』 -〔特集〕新たな視点でまちづくりに取り組む

はこまち通信 vol.56掲載(2021年4月発行)

Web版クーポラでは、紙面で掲載しきれなかった内容も掲載しております!

【対談ゲスト】函館災害情報・松居 孝幸さん

地域の課題を解決するため、まちづくりセンター(以下まちセン)は2007年のオープン以来、5つのミッションを掲げて活動してきました。今回は『情報発信』について取り上げます。

まちセンは市民活動団体の活動拠点、地域のコミュニティスペースとして、これまで情報発信したい方や団体のイベントポスターをセンター内に掲示したり、チラシを配架して情報を発信したい方と情報がほしい方をつなぐ場としての役割を担ってきました。

2020年はイベント数も来館者数も減少。館内の掲示物や配布物だけでは発信力が弱いことからインターネットによる情報発信を強化してきました。ブログは毎日更新を継続中。Twitter(ツイッター)やfacebook(フェイスブック)の運用について見直しを図ったほか、2021年1月には函館への移住を検討している方に向けてInstagram(インスタグラム)を開設しました。

対談ゲストに、Twitterで60,000人ものフォロワー数を持つ『函館災害情報』代表、松居孝幸さんをお迎えしてお話を伺いました。フォロワー60,000人とは、たとえるなら函館市民の約4人に1人がフォローしているという数字になります。広報誌クーポラ初のオンラインによる対談となりました(2021年1月28日)。

今回のゲスト

函館災害情報・代表 松居 孝幸 さん

函館市出身。
仕事の傍ら、函館で発生した地震・豪雨などの気象災害情報や
地域の安全情報を無償で発信する『函館災害情報』代表。
HP開設・メルマガ配信は2002年から。
2013年よりTwitterでの情報発信を開始。
2021年3月現在、Twitterのフォロワー数は60,000人を超える。

【聞き手】函館市地域交流まちづくりセンター(以下まちセン)

クーポラ編集長・谷口

センター長代理・大矢


今回は『ブログやSNSを使った情報発信』について意見交換しました。 前半は地域の災害情報を発信する松居さんの活動について。 後半はまちセンのこれからの情報発信についてアドバイスをもらいました。

松居さんが運営する『函館災害情報』は、2018年9月の北海道胆振東部地震をきっかけに知名度がアップしました。2020年からは感染症情報も丁寧に発信していらっしゃいます。函館災害情報の最新情報が見たいがために『Twitterアプリをダウンロードした』というまちセンスタッフもおります。今日はよろしくお願いします。

さっそくですが『函館災害情報』で主に使っていらっしゃるのはスマホですか?パソコンですか?

松居さん

停電時にPCが使えない可能性を考慮し、当アカウントの更新はすべてスマホです。

まちセン

まちセンはこれまで100%パソコンで更新しておりましたが、停電時を考慮して検討していきたいと思います。
2018年9月6日、北海道胆振東部地震の教訓をいかしていかなければなりませんよね。まちセンでも地震災害を忘れないように、そして災害から復興までは、とても長い年月がかかるということを広く伝えていくために、2021年も募金活動を継続中です。

ブラックアウトのときは『スマホの充電』も備えのひとつとなりました。松居さんは、停電時にどのような備えをしていますか?

松居さん

ポータブル電源2台と、持ち運び可能なソーラーパネルを2台所有しており、大規模災害時にもみなさまに必要な情報を届けられるよう準備しています。予備のスマホを持っていますので、キャリア障害が発生したときに他の回線も使用できる体制を整えています。

まちセン

災害情報を扱うだけに、災害時への備えも万全なんですね。そもそも松居さんがこの活動をはじめたきっかけは何だったのでしょうか。長く続けてこられた理由は何ですか。

松居さん

学生の頃、テレビのニュースで水害(洪水)の報道を観ました。「もし自分の地域で災害が発生したら、どうなってしまうのか…」と考え、専門学校を卒業後の2002年7月、『函館災害情報』のHPをたちあげました。当時はメールマガジンを配信してましたが、2013年からはTwitterを利用しています。新しいサービスが次々と誕生しているため、時代にマッチした情報発信方法を考えており、現在はInstagramなど、他のSNSでも運用を開始しています。

災害による被災者を減らすには、地域のみなさんに、災害への『正しい理解』を深めてもらうことが何より大事だと思います。市民ひとりひとりの『防災意識』が高まれば、減災につながるのではないか、と思いながら活動しています。

ここまで続けてこられたのは、やはりみなさんから日々寄せられる感謝のコメントが一番です。将来は情報発信にとどまらず、災害時に直接被災者支援に向かうボランティア団体の設立や、物資提供の体制等ができればと思っています。

まちセン

防災、減災への思いから、ご自身が知りえた情報を大勢の方に広く発信していらっしゃるんですね。
ボランティア団体設立などの際は、まちセンでもサポートさせていただきます。ぜひお声がけください。

昨日(1月27日)も函館で地震がありましたが、揺れの直後にTwitterを更新していらっしゃいました。

松居さん

スマホには、災害情報を入手するためのアプリを複数入れています。『〇時〇分現在、函館市周辺で、地震が発生した模様です…』と入れた『下書きテキスト』も準備して、地震が起きてから更新までの時間短縮を図っています。

近ごろはどうしても新型コロナウイルスの情報発信が多いですが、災害としてはやはり2018年9月6日午前3時7分59秒に発生した、北海道胆振東部地震が最も印象に残っています。

地震が発生したら、揺れる前にまず『緊急地震速報通知サービス』からの通知が届きますので、スマホのアプリをチェックします。実際に函館でも揺れを感じたら『下書きテキスト』の画面を開きます。『〇時〇分現在、函館市周辺で、地震が発生した模様です…』このテキストをもとにツイートします。

地震を知らせる通知がスマホに届いてからTwitter『函館災害情報』の更新まで、一連の流れを松居さんに見せていただきました。

まちセン

本当にあっという間ですね!驚きました。わたしたちも状況に応じて正確かつスピーディーな情報発信ができるよう、事前の準備に力をいれていきます。

「知りたい」という気持ちは誰もがもっているものですが、その情報を「みなさんにも」という思いが、今の活動につながっているのですね。

今は、ほぼおひとりで運営されてますが、今後は、例えば『若手の育成』だとか、『チームで情報発信に取り組む』ということは考えていらっしゃいますか。

松居さん

他の地域の方から『うちのまちにも函館災害情報みたいなのがあればいいなぁ』といった声が寄せられています。そのほとんどが函館出身の方です。函館を出て、当アカウントのような災害情報サービスがないことに不便を感じていらっしゃるようです。

東京では、当アカウントを参考に『東京災害情報』というアカウントが誕生しました。道南以外の方でも、興味のある方はどんどんチャレンジしてもらいたいですし、やる気がある方がいらっしゃれば、活動のフォローということもさせていただきます。

まちセン

素晴らしい取り組みですね。松居さんの活動をこれからも応援しております。

 

まちセンの情報発信について

まちセンは『市民活動団体の活動拠点』として2007年にオープンしました。「地域の方も観光の方も、どなたでも」ご利用いただける場所です。これは強みでもあるのですが、活動が多岐にわたるため、Twitterでの情報発信もターゲットを絞り切れず、届けたい人に届いていないのでは、と感じています。 

例をあげると、これだけの異なる情報を、すべてひとつのアカウントで発信しています。

  • 市民活動団体に向けての講座やセミナー情報、助成金情報
  • どなたでも参加できる講座やイベント情報 (まちセン主催事業など)
  • まちづくりセンターが会場の催し、イベント情報
  • 施設利用に関する情報、テナント情報など
  • インターン・修学旅行生・視察受け入れなどの報告記事
  • 地域のお役立ち情報、旬の情報
  • 観光情報、函館道南各地で行われるイベント情報
  • 函館への移住を検討中の方に向けた情報 (移住サポートセンター)

松居さん

私のまわりにもまちセンって何をやっている施設なのか、よく分からないという人もいます。先日、まちセンのHPを拝見したのですが、ちょっとよく分からないブログがありました。これは何でしょうか?
※松居さんからご指摘があったブログは、SDGs(エスディージーズ)のロゴマークが入った記事でした。さっそく補足したり、関連リンクをつけました。

まちセン

初めてご覧になる方にも伝わる内容を心がけます。ブログへのご指摘ありがとうございます。Twitterもブログと同様、『初めての方がご覧になる』ということを常に意識しながら更新していきます。

松居さん

Twitterも新しい機能が増えているので、私も活用しています。例えば、Twitterには2分間の動画が入れられるのをご存知ですか?プロフィール下の固定記事(トップ記事)に、例えば『まちセンはこんなことができます』というような動画を入れてみてはどうでしょうか。

まちセン

さっそく検討してみます。動画による導入部分があれば、日々の更新情報も、よりはっきりと伝わりそうです。

facebookは、後日テキストの修正ができるところや、文字数・画像枚数の自由度が高いこともあり、まちセンでも活用できていると感じています。その分、Twitterを十分に活用できていないジレンマがあります。まちセンは公共施設という性質上、Twitterでは『まちセンからの発信のみ、一方通行』という使い方に限定してきました。松居さんは積極的にフォロワーの方をフォローして情報提供を受けたりと、Twitterのメリットを存分にいかしていらっしゃいますね。

松居さん

Twitterのハッシュタグ機能もぜひ活用してみてください。テキストに #函館災害情報 をつけていただくことで、どなたでも災害情報を発信したり、情報を得ることができる便利な機能です。

まちセン

ハッシュタグ機能、活用してみます。以前まちセンでも拡散したい情報があって #函館災害情報 をつけたことで、広く拡散していただいたことがありました。「アクロス十字街に献血車が来ます」という記事でした。その節はありがとうございました。

松居さん

Twitterは、過去の地震や停電等の災害発生時でも、影響を受けることなく情報発信ができました。災害に強いツールだと思います。まちセンでもぜひTwitterを活用してみてください。そして災害時に備えて『市民が安心できる体制』を、ぜひともつくってもらいたいです。

まちセン

SNSの特性や機能を最大限に活用してまいります。そして災害時にも落ち着いて情報発信できるよう、体制を整えていきたいと思います。
今日はありがとうございました。

 


■ 課題解決に向けての新たな視点
  • SNSの特性を見極め、最大限に活用する
     → 便利な機能を積極的に試してみよう

  • 『まちセンってどんな場所?』の発信
     →  シンプルに伝える工夫を(動画の活用)

  • 災害時への備え 
    →  情報発信の体制を整える


■ 函館災害情報 Twitterアカウント @hakodate119




 移住サポートセンター(函館市地域交流まちづくりセンター)は、Instagramアカウント『はこだて暮らし』を開設し写真や動画を使った情報発信をはじめました(2021年1月7日より運用開始)。

 話題ははこだて暮らしを楽しむヒント、季節の移り変わりなどです。函館山の麓、西部地区の情報を中心に更新しています。函館への移住を検討中の方はもちろん、すでに函館に移り住んだ方も、そして函館在住の方も、どうぞお気軽にフォローしてください。

 移住サポートセンターが配信しているメールマガジンとあわせてご覧いただくと、はこだて暮らしをよりイメージできると思います。メールマガジンの登録もお待ちしております。登録者数は年々増加しており、2021年3月現在、500名を突破しました。

 Instagramによる情報発信は、移住サポートセンターが昨年実施しましたアンケートの結果や、広報誌クーポラvol.54の移住特集(蒲生 寛之さんとの対談)を受けて、準備をすすめてきたものです。


■ はこだて暮らし / @hakodatekurashi

URL: https://www.instagram.com/hakodatekurashi/


2021年度より、コンテンツの充実を図ってまいります。公開しましたらブログでお知らせします。

これからもさまざまなツールを活用して情報発信してまいります。

 


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