「小規模多機能自治」の推進に向けて

はこまち通信 vol.57 掲載(2021年7月発行)

 小規模多機能自治発祥の地、島根県雲南市は「日本で一番チャレンジに優しいまち」を実践しています。市のホームページを見ると『雲南スペシャルチャレンジ』と題し、中高生へはチャレンジ精神を養うこと、大学生には地域で学ぶこと、若者向けでは仕事を生み出すことに対して、ふるさと納税等を活用しての資金面も含めたサポートの仕組みが紹介されています。

 雲南市がこれほどまでにチャレンジに優しいのは、25年先を進んでいると言われる高齢化があるからです。10年先も20年先もみ
んなが自分らしく暮らせる地域にするためには、そこに住んでいる人が自ら地域の課題解決に向けたチャレンジをしていく必要があり、その軸になるのが若者というわけです。

 実は大人に対しても「大人チャレンジ」として、地域自主組織によるまちづくりを支援しています。それが、地域内のことを地域の人たちが自分たちで考え、課題解決策を決め、実行していく小規模多機能自治につながっているのです。

 函館市でも、高齢化は全国平均より約20年早く進んでいます。まちづくりセンターがオープンしてからの約15年を見ると、特に独り暮らしの後期高齢者の急増と、若者の減少が加速していることが分かります。

 これらの課題を乗り越えるためには、高齢者の健康が地域の資源であり資産だと捉え、福祉・防災・生活支援を一体で考え、若者や女性の気持ちや力を活かす地域づくりが必要になってきます。多世代や、様々な立場の人たちがお互いの力を出し合って未来をつくっていく仕組みづくりが今の函館には急務です。市内でも高齢化が進んでいる地域のひとつである西部地区からこのまちを見つめ、共に歩んできたまちづくりセンターだからこそ、そのことを強く感じてしまいます。

 私たちが小規模多機能自治を強く推し進めたいという思いも、そこから来ています。一人でも多くの方と、実現に向け一緒に学んでいきたいと思います。