黄色い消火栓と函館大火(2021.3)

函館の街中のいたるところで見かける「黄色い消火栓」
まちづくりセンター向かいの歩道にも設置してあります。

この消火栓は『函館型三方式地上式消火栓』という名称で、
函館独自の消火栓になっています。

昭和9年3月21日に発生した「函館大火」の反省から
1937(昭和12)年から使用され始めました。

函館型三方式地上式消火栓の「地上式」は字の如く
「地上」に設置してある消火栓です。

1889(明治22)年から地下に埋蔵された
「地下式消火栓」(いわゆるマンホール型)が設置されてきましたが、
冬は雪に埋もれてしまったり、
マンホールを開けるために専用の器具が必要なことから
迅速な消化活動のために
昭和9年の函館大火以降、地上式のものが整備されました。

「黄色」が目立ちますね。
雪に埋もれていたり、夜間でも判別し易そうです。

一方、函館型三方式地上式消火栓の「三方式」とは、
ポンプ車のホースとの接続部が三ヶ所設けられているからです。

ホースの接続部となる放水口が三ヶ所あることで、
大量の放水が可能になり、迅速な消化活動に繋がります。

ほかの地域では、放水口の数が異なる消火栓があるかと思います。
お住まいや地元の消火栓と比べてみてください。

函館の黄色い消火栓について詳しくは、
函館市公式サイトや函館市公式観光情報サイト「はこぶら」で紹介されています。

函館は江戸の中期以降、約30の大火の記録があります。
大火の度に、道路の拡張や耐火建造物の推奨、
消火設備の整備など様々な対策が行われ
復興とともに、現在の函館のまちづくりに繋がっていったのかと思います。

まちづくりセンターの建物も
明治・大正期の大火で木造の丸井今井呉服店が焼失したことから
耐火構造物である「鉄筋コンクリート造」の百貨店として建造され、
開港通りや函館市役所から延びるグリーンベルトも
火災の延焼を防ぐために設けられました。

函館の町並みには、大火を防ぐための面影が残されております。
函館まちあるきマップvol.25 防火・防災のまち十字街はこちら
函館の坂と大火の歴史をたどる はこぶら記事はこちら

昭和9年の函館大火が発生した この日に
ご家庭の火災報知機や消火設備、避難経路など
いま一度ご確認ください。


By 榎本