「小規模多機能自治」という言葉をきいたことはありますか?

はこまち通信 vol.56 掲載(2021年4月発行)

 島根県雲南市(うんなんし)から広まったまちづくりの取組です。まちづくりセンターにも何度か講師として来ていただいたIIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表・川北 秀人さんが中心となってつくりあげてきました。実は私も数年前、雲南市に行く機会があり、その凄さにふれ、函館でも実現したいという思いを強くしてきました。

 小規模多機能自治とは、簡単に言うと、“地域内のことを地域の人たちが自分たちで考え、課題解決策を決め、実行していく姿”のことです。町会以外にも、地域のサークルをはじめ様々な人が集まり、みんなで考えていきます。町会よりは広い区域を設定し、恒例の行事を行うためではなく地域の課題を解決するために話し合っていく場になっています。そこでは、1人1人が主役となり、できることを出し合い活躍しています。

 例えば、ある地区では委託契約で水道検針を地区の人が行っています。毎月の検針訪問の際、保健師も同行し、高齢者の見守りや健康相談も一緒にしています。別の地区では、閉鎖された店舗を住民の力で再開。交流拠点だけでなく、買物も健康相談も、包丁研ぎなどの困りごとの解決もできる場にしました。今では地区の人々がつくった野菜や惣菜も販売。収入もそれなりにあり、生きがいづくりにもつながっています。他にも、地区オリジナルの介護予防体操をつくり普及させるなど、多くの取組が地域の人たちの力で行われています。

 川北さんは、「少子高齢化が進み、課題が増えるのに自治体は何もできなくなる。延長線上で考えるのではなく、地域の取組も組織も進化が必要」と訴えます。
 函館も、例外ではありません。